住みながらリフォームは可能？困るポイントと工事中の防災・防犯対策

「自宅のリフォームを考えているけれど、仮住まいを探すのは面倒だしお金もかかる…」
「住みながらリフォームができれば一番いいけれど、生活に支障はないのだろうか？」

お子様の成長やライフスタイルの変化に合わせて、マイホームのリフォームを検討される方は多いです。
その際、最も悩ましいのが「仮住まいをするか、住みながら工事をするか」という問題ではないでしょうか。

結論から申し上げますと、住みながらのリフォームは可能です。

しかし、家族で生活しながらの工事には、想像以上のストレスや、工事中特有の「防災・防犯リスク」が潜んでいます。

今回は、数多くのリフォームを手掛けてきたプロの視点から、住みながらリフォームで「ここが困る」と予測されるポイントと、絶対に知っておくべき安全対策について解説します。

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住みながらリフォームのメリットは「費用」と「荷物」

まずは、なぜ多くの方が「住みながら」を選ぶのか、そのメリットを整理しましょう。

仮住まいの費用と手間がかからない
敷金・礼金、家賃、そして2回分（自宅→仮住まい→自宅）の引越し費用が浮くのは、数十万円単位の大きな節約になります。
荷造りの手間が最小限
家中の荷物を段ボールに詰める必要がなく、工事する部屋の荷物を移動させるだけで済みます。
工事の様子を毎日確認できる
職人さんと毎日顔を合わせるため、細かな要望を伝えやすく、工事の進み具合を常にチェックできる安心感があります。

逆に「住みながら」のデメリットは？

メリットがある一方で、当然デメリットも存在します。費用面だけで安易に決めてしまう前に、以下のリスクも考慮する必要があります。

工期が長くなる（仮住まいより時間がかかる）
空き家での工事なら、職人は複数の部屋を同時に進められますが、住みながらの場合は「一部屋ずつ仕上げる」「毎日家具を移動させて、清掃して帰る」という手間が発生します。そのため、仮住まいをする場合よりも、全体の工期が1.2倍〜1.5倍ほど長引く傾向があります。
効率が悪く、施工費が割高になる場合がある
上記の通り、養生や清掃、家具移動の手間が増える分、職人の人件費（施工費）が少し割高になるケースがあります。
逃げ場のないストレス
これが最大のリスクです。家にいても「工事の音」や「職人の気配」から逃れることができず、精神的な負担が蓄積します。

住みながらリフォームが「しやすい工事」と「難しい工事」

これらのメリット・デメリットを踏まえた上で、「自分のやりたい工事は住みながらできるのか？」を見ていきましょう。工事の内容によって、スムーズに進むものと、ご家族への負担が大きいものがあります。

比較的住みながらリフォームしやすい工事

基本的に「工事範囲が限定的」で「短期間で終わる」ものは、住みながらでも問題なく行えます。

トイレの交換: 半日〜1日で完了するため、負担は最小限です。
外壁・屋根塗装: 職人が室内に入らず、外での作業が中心となるため、生活リズムを崩しにくいです。
個室の内装リフォーム: 「子供部屋だけ」「寝室だけ」と一部屋ずつ順番に行えば、他の部屋で生活できます。

工夫が必要、または難しい工事

一方で、生活インフラに関わる部分や、家全体に及ぶ工事は注意が必要です。

お風呂・キッチンの交換: 数日間〜1週間程度使えなくなるため、銭湯や外食などの対策が必要です。
家全体のフローリング張り替え: 家具を全て移動させる必要があり、歩ける場所も制限されるため、「家の中に逃げ場がない」状態になります。
間取り変更（スケルトンリノベーション）: 壁を壊す大規模な工事は、騒音・粉塵が激しく、安全面からも仮住まいを推奨するケースが多いです。

では、実際に「住みながら」を選択した場合、具体的にどのような不便が生じるのでしょうか。
事前に覚悟しておくべき「困ること」を見ていきましょう。

プロが教える！住みながらリフォームの「ここが困る」TOP3

家族が住みながら工事をする場合、どのような不便が生じるのでしょうか。よくあるケースを紹介します。

【ここが困る①】逃げ場のない「音」と「ホコリ」のストレス

最も覚悟が必要なのが、工事中の騒音と粉塵です。解体工事のドリル音や、大工さんの金槌の音は、想像以上に響きます。

「テレワーク中に会議ができない」「受験生の子供が集中できない」「テレビの音が聞こえない」といった事態になることが予想されます。

また、どんなに養生（カバー）をしていても、微細なホコリは隙間から入り込むため、こまめな掃除が必要になります。

【ここが困る②】水回りが使えない不便さ

キッチンやお風呂、トイレのリフォーム中は、それらが数日から数週間使えなくなります。

その間、「毎日銭湯に行かなければならない」「食事がお弁当や外食ばかりになり、食費がかさみ、栄養バランスも崩れる」「夜中にコンビニのトイレまで行くのが辛い」といった生活になります。

特に4人家族の場合、洗濯機が使えない期間のコインランドリー通いも重労働になるでしょう。

【ここが困る③】プライバシーと気疲れ

「朝8時半には職人さんがやってくる」という生活が続くと、朝寝坊もできず、家の中でリラックスしにくくなります。

知らない人が家の中を行き来するため、常に身なりを整えておく必要があり、奥様やお嬢様が精神的に疲れてしまうケースも想定されます。

見落としがち！工事中の「防災・防犯」リスク

「不便さ」については覚悟していても、意外と見落とされがちなのが安全面（防災・防犯）です。
リフォーム中の家は、普段よりも無防備な状態になります。

火災・ボヤのリスク（防災）

工事現場には、塗料や接着剤、木材の切り屑、養生シートなど、燃えやすいものが沢山あります。万が一の出火に備え、整理整頓が徹底されているか、消火器が準備されているかを確認する必要があります。

また、溶接作業などで火花が飛ぶリスクもあります。

地震時の避難経路（防災）

工事中は、資材や道具が廊下や玄関付近に置かれることがあります。もし大きな地震が起きた際、「資材が倒れて避難経路が塞がれる」という事態は絶対に避けなければなりません。

毎日作業が終わった後、避難経路が確保されているかを必ずチェックしましょう。

戸締まりと空き巣（防犯）

職人さんの出入りが多いと、玄関の鍵が開けっ放しになる時間が増えます。また、足場が組まれている場合は、2階の窓から空き巣が侵入しやすくなります。

「工事中だから誰かいるだろう」という油断は禁物です。補助錠をつける、センサーライトを設置するなどの対策が必要です。

住みながらリフォームを成功させるポイント

メリットもデメリットもある「住みながらリフォーム」。
成功させるためには、以下の3つを意識してください。

「工区分け」を明確にする
「今週は1階、来週は2階」のように、工事エリアと生活エリアを明確に分け、生活空間にホコリが入らないよう徹底的に養生してもらいましょう。
水回りが使えない期間の対策を決めておく
「お風呂が使えない3日間は近くのホテルに泊まる」など、一番ストレスがかかる期間だけ外泊するのも賢い選択です。
安全管理のできる業者を選ぶ
「毎日清掃をして帰るか」「資材を整理整頓しているか」「防災・防犯への意識が高いか」。これらは、見積書の金額だけでは分かりません。担当者と話し、現場管理の体制についてしっかり質問しましょう。